今は日常的に耳にすることがなくても、高齢者の間ではよく使われている言葉があります。それを老人語といい、いくつか覚えておくことで高齢者とのコミュニケーションが図りやすくなります。聞き慣れない単語が出て聞き返すより、理解して会話のキャッチボールを続けられる方が信頼関係も深まります。
「オーバー」という言葉は、冬の時期によく使われる老人語の一つです。老人語を知らない介護職は「大げさ」という意味と捉えるかもしれませんが、老人語の「オーバー」は「コート」を意味します。「オーバーを衣紋掛けにかけてほしい」と言われたら、「コートをハンガーにかけてほしい」という意味です。「衣紋掛け」は「えもんかけ」と読みます。「トックリセーター」は、「タートルネックセーター」を意味します。襟部分が日本酒を注ぐ徳利のような形をしていることから、「トックリセーター」と呼ばれるようになりました。こちらも、冬の時期によく会話に出てくるかもしれません。
ほかにも、「ハイカラ」は「おしゃれ」、「器量よし」は「顔立ちがきれい」「美人」という意味を持ちます。「往生する」は「困る」「大変」、「チョンボ」は「失敗」を意味する老人語です。日常会話でも出やすい言葉なので、覚えておくと会話が弾みフォローもしやすいでしょう。「メリケン粉」「天火」は、料理や食事などの会話で役に立つ老人語です。「メリケン粉」は「小麦粉」、「天火」は「オーブン」のことをいいます。レクリエーションでお菓子作りをする際にも、使いやすい言葉です。老人語を覚え、理解しておくことで、高齢者と同じ目線に立ち寄り添ったケアをしやすくなります。